もにゃにっき

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「かまいたちの夜2」感想

ブログも放置して久しいので、たまには気まぐれで更新しようかなと思いまして。

最近クリアした「サウンドノベル・ポータブル かまいたちの夜2 特別篇」の感想というかレビューというかでも。

 

 

かまいたちの夜2 特別篇 - PSP

かまいたちの夜2 特別篇 - PSP

  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: Video Game
 


www.jp.playstation.com

 

SFCで発売されたサウンドノベルの金字塔「かまいたちの夜」の続編になります。
正確にはSFC版のリメイク「かまいたちの夜 特別篇」(PS1)の続編かな?
もっと言うなら、PS2版の「かまいたち2」がありその移植版です。まあ内容は大体同じだと思うので割愛。

前作(SFC版)はピンクのしおりを出すまでやりましたので、人並みにはハマったほうだと思います。

2は黒のしおりを出して全シナリオの完エンドを見るまではやりました。
バッドエンドは埋めてないし金のしおりも当然出してません。

 

 

ゲームシステムの進化

写実的なグラフィック

まず驚いたのが背景やキャラクターの描写。

背景は前作でも実在するペンションで撮影した背景はリアリティーがありましたが、2ではさらにパワーアップ。

PS2PSPとは思えぬ美麗さで、さらに波の水しぶきや飛び交うカラスなどが自然にループアニメーションします。
恐らく背景は写真を加工したもので動くものはCGなんだろうけど、まったく違和感なく溶け込んでて凄い。

何ならPS3のゲームより綺麗かも。さすがに4と比べると…って感じですが。

 

キャラクターは前作がベタ塗りのシルエットだったのに対し2は半透明の3DCGに変更。

こちらも基本は静止していますが随所でアニメーションし、これまた自然で違和感のない出来。
CG自体も前作の印象そのままに3D化していて、イメージと違う!ということは全くありませんでした。
あえて目などは描写せず、かといってどんな外見なのかわからない程でもない絶妙な塩梅なのも前作通り。

 

正統進化として100点満点のクオリティ!でした。

フローチャート機能

多分PS1版の前作からあった機能なんでしょうけど、SFC版から飛んできた自分には非常にありがたい新機能でした。

見やすいし操作もしやすく、どの選択肢を選んだかも記録され、好きな時に好きな場所へ飛べるのはふと読み返したくなった時に便利。

 

一方でどこに選択肢が増えたかもすぐわかってしまい、手探りで新ルートを探すあの感覚は薄れてしまったのは若干さみしくもあり。
でもそれ以上にプレイヤーにやさしくなったし、新規層にもとっつきやすくするのは基本なので納得しています。

 

あと犯人指定の直前に回想を入れて情報を整理できるのもGOOD。
自分は忘れっぽいので助かりましたw 

シナリオ面

ゲームを開始してまず目に入るOP映像。
正直に言えばこの時点から「作風変わった?」という予感はしていました。

前作はじわじわと襲い掛かる怖さだったのが、2のOPではお化け屋敷的なドッキリ要素が強いような…そんな感覚。

そしてそれは的中しました。

 

メインシナリオはそうでもないですがサブシナリオがとにかくグログロ&グロ。
前作はメインが一番怖くてサブは趣向を変えたシナリオが多かったのに対し2はメイン以上に生理的にクるサブシナリオが多かったです。

そして前作では完エンドだと多少被害者は出たとしても、最低でも透と真理はハッピーエンド、というスタイルでした。
しかし、2の完エンドは「物語を最後まで見たかどうか」で判定していて、あまりハッピーじゃないものも多く…そこはモヤモヤしました。

 

またバッドエンドも、前後関係がめちゃくちゃな一発ネタがほとんどになり見ていて単調さが目立つなと。

かまいたちシリーズはシナリオごとに根幹の設定が全く違うものになるのが特徴ですが、1つのシナリオの中の細かい分岐はifとして矛盾しないようになっていたと思うのですが、
2では完エンドの犯人とは全く違う人が犯人として終わるバッドエンドや、ギャグにしても突拍子もなさすぎるエンドが多く、シリアス度はかなり下がったように感じました。

 

作風の変化を除けばシナリオの内容は全体的に面白かったです。

キャラクターの性格は全く変わっておらず、続編としては文句なし。
真理が性格悪いと言われることもあるようだけど、ほとんどがギャグ的なパラレルなのでそんなに気にならなかったな。

 

前作を劇中劇として、実際に起こった出来事ではないとしたのも無難な選択かなと。

シナリオにも繋がりがある続編とすると、黒幕だった美樹本さんはどうしても出せなくなっちゃいますからね。
彼の「皮肉っぽいが色々こなせる、フリーのカメラマン」というキャラは頼りになりますしシナリオ上も便利ですからね。

亜希ちゃんファンの方々は…サブキャラの1人から主要キャラに躍り出たということで一つ。
春子さんはどうしてああなったんでしょうね…。3×3でフォローあるのかな。

 

以下、各シナリオごとの感想です。

通常シナリオ

わらべ唄篇

メインシナリオだけあって素直な出来。

トリックに無茶があると言われがちですが、本格ミステリーには手を出さない自分からするとそこまで拒否感はなかったです。
ありえないというほどでもないですし。

「秋が来ないと泣いてござる…」や「わっかが解けりゃ」の、事件が終わった後もわらべ唄との符合が続くシーンは、運命的で印象に残っています。

ただ、上記の通り事件を未然に防いでもすっきりしない終わり方なのは納得いきませんね。
ゲームというより読み物としての性質が強く出てしまった感じ。

底蟲村篇

振り返ればある意味、一番2っぽいなと思います。

巨大な蜘蛛、謎のゾンビ、不気味な木の実と生理的な気持ち悪さがハイクオリティなグラフィックでこれでもかと攻め込んくる。

ストーリーも最終的には世界レベルの危機にまで発展し、完エンドもすっきりしないまま終了。

まー良くも悪くも印象に残るし2を象徴するシナリオですね。

陰陽篇

底蟲村篇ほどではないけどグロくてスケールが大きくて救いのないお話。
底蟲村篇でも黒幕の目的は一応阻止されているのに、こっちはなすすべなく完遂されてしまったので、バッドエンド度合いでは上かも。

三日月形の島と館に本編とは別の意味が込められていて、少しづつ明かされていくのは面白かったです。

サイキック篇

わらべ唄篇中盤から分岐するシナリオ。
視点が真理に切り替わり、真理主人公で進むことになります。

そのため、これまでプレイヤーに嘘がつけなかった透にとんでもないギミックが仕込まれているのが特徴。

どこか抜けていて、でも真っすぐで正義感のある性格をそう調理するか…とひどく関心しました。

そして、私設軍隊を持つほどの秘密結社が出てきたり、ラストもほぼ全滅エンドだったりと、上記2つに負けず劣らずスケールが大きく悲壮感漂うシナリオでした。

2マジ救いがねぇ。

 

途中の「死と腐敗を支配するもの」エンドは何だったんだ…?

 

ピンクのしおりシナリオ

ぼくの青春篇

フローチャートの一番上から分岐するシナリオ。
よって多くの人はピンク解放後真っ先にプレイすると思います。

何週もしたプレイヤーへの配慮で、一部CGやアニメーションが省略されるのにも慣れてなんの疑問も抱かなくなったところで…という叙述トリックは見事。

 

でももうちょっとこう…何かあるだろ!

 

分岐もなく非常に短いすぐ終わるギャグ調のシナリオで、事実上一発ネタのバッドエンドに近いです。

前作の鎌井達の夜編を意識したんだろうか…?

ぼくの恋愛篇

青春篇のすぐ次の選択肢から分岐するシナリオ。

青春篇から真理に意識を向けさせて…という叙述トリックは見事。

後は青春篇と同じ。

…一発ネタを2回連続でぶち込むのはどうなの?

わら唄篇

名前通り、わらべ唄篇のセルフオマージュギャグシナリオ。

肩の力を抜きて気楽に楽しめます。めっちゃ笑いました。

でも1か所だけ設定を無視して皆死ぬバッドエンドがあります。
2の悪い面がこんなところにも…

官能篇

陰陽篇から分岐するおピンクなシナリオ。

進化したグラフィックでみどりさんがすごいことに。

小林さんもすごいことに。

でも最後は結構爽やかに〆ます。
かまいたちらしくて好きなシナリオ。

黒のしおりシナリオ

妄想篇

チャート序盤から分岐。
これまでのグロ方面とはまた違う電波でサイケな、意味不明なシナリオ。

とにかく全篇にわたって不穏な演出、意味不明なセリフや文章、ショッキングな展開が連続する。

かと思いきや、最後の最後でそれとなく意味が分かるようになっている。

 

やられました。
2で一番好きなシナリオです。

 

というか、このシナリオだけ実質かまいたち1ですよね…。
三日月島での出来事はすべてゲームであり実際には何も起こっていない、透に思い出してもらうためのきっかけ作り。
逆に他ルートと違い、ペンションシュプールでの殺人事件は実際に起こっていたという設定になっています。
尤も、事件の内容は少し違うようですが。
ゲーム中ゲームの扱いが逆転しているのが面白い。

洞窟探検篇

わらべ唄篇序盤から分岐。
洞窟の謎を解き財宝を手に入れる、前作の不思議のペンション編に相当するシナリオ。

なのでホラーとかはなくシュールギャグな雰囲気が強いです。

かと思いきや、終盤でオカルトホラーっぽい展開に。
そんなに重いものでもないのですが、展開が急でその後の終わり方もなんとなく雑に感じました。

最後までカラッとした雰囲気で楽しく冒険してほしかったですねー。

また謎解きの内容もよく理解しないまま適当にやったらクリアしてしまったのでそこも消化不良です。

惨殺篇

わらべ唄篇後半から分岐。
なので最後にプレイしたのがこのシナリオでした。
変な虫に取りつかれ登場人物ほぼ全員が血と殺戮を求めるようになり…。

かなり直接的なグロで、正直またこういうのか…と思ってしまいました。
まあ名前から予想はついてましたが。

内容も、実は透も寄生されており、最後の理性を振り絞って真理を守るが、その真理も…という展開はベタベタで特に何も感じませんでした。

PS2版だとエンディングが特殊なものらしいですけどPSP版では省略されているそうで見てません。
それを見たら少しは印象が変わるんでしょうか…?

 

 

以上とは別に、洞窟探検編の中に暗号があり解くとメッセージがあるそうですがまだ見てません。

 

総合的には確かにシナリオには若干の難あり、といったところでしょうか…。

しかしグラフィックやキャラクターの性格はイメージそのままに、より精密に描写されるようになり、その点でれっきとした「かまいたちの夜」の続編である、と自分は感じました。

とても楽しめたので、3×3も期待しています!

 

 

その前に街をクリアしなくちゃ…。